サラリーマンにとって待ちに待った「冬のボーナス」の季節だが、社員とは「ケタ違い」の額を受け取っているのが、有名企業のトップたちだ。今回、東京商工リサーチの協力を得て、上場企業の有価証券報告書から「社長のボーナス」を抽出・ランキング化した。
その結果、1位は自動車部品製造を手がけるユーシンの田邊耕二・会長兼社長6億3000万円。2位は米国の栄養食品販売会社の日本法人、シャクリー・グローバル・グループのロジャー・バーネット執行役会長・社長兼CEOの4億6000万円。3位は稲葉善治・社長の電気機器メーカー・ファナックで3億900万円。近年は日本企業も欧米流の「業績連動」が増えてきたようだ。
2兆1733億円の純利益(2015年3月期)を叩き出し、絶好調のトヨタ自動車も近年になって賞与の「欧米化」に舵を切ったとみられる。
4位に入った豊田章男・社長の2013年度の賞与と本給はともに約1億2000万円でほぼ半分ずつだったが、2014年度の賞与は本給の約2.5倍となる2億4900万円まで急増している。賃金ジャーナリストの溝上憲文氏がトヨタの「変化」を解説する。
「トヨタは数年前から役員報酬規定の見直しを進めているそうです。外国人の役員が増えてきているので、彼らのやる気を出させるためにも変動報酬額を増やしているのだと思われます(同社広報部は「役員報酬の体系や中身については公表していません」と回答)」
一方、日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長の賞与は「ゼロ」でランク外。本給のみで年間10億円以上を受け取っている。これは「年俸制」を採用しているからだ。日産広報部がいう。
「ゴーンだけではなく、役員を含む管理職以上には賞与という概念がなく、全て業績連動になっているので、賞与はゼロになっています。年俸は12で割って毎月支給しているので、実質的な夏冬のボーナスという形での支給もありません」
企業に詳しいジャーナリストの前屋毅氏が両社の違いを解説する。
「トヨタは連動幅が大きいとはいえ、直近の業績に左右されない本給が別にある。ゴーン氏はそれも含めて『年俸』だと考えている」