身近な事象が経済と密接に関連していることを表わす例はまだ多くある。たとえば、「節約食材」でもあるもやしは、景気が悪化すると売り上げが増える傾向にあり、企業倒産による負債総額のデータとほぼ連動している。

 また、人気テレビ番組『笑点』(日本テレビ系)は、景気が悪くなると視聴率が「その他娯楽」カテゴリでトップとなる傾向にある。「暗い気分を笑いで吹き飛ばしたい」という人々の心をつかみ、日曜に外出せず家でテレビを見る人が増えることを示すのではないか。

 こうした景気の「ジンクス」は、偶然とはいえない確率で景気動向や株価と一致する。経済活動の主体は市井の人々であり、景気を動かしているのは彼らのマインドにほかならないからだ。

【PROFILE】たくもり・あきよし:さくら証券、さくら投信投資顧問のチーフエコノミストを経て現職。ESP景気フォーキャスト調査委員会(日本経済研究センター)委員、景気ウォッチャー調査研究会(内閣府)委員。著書に『ジンクスで読む日本経済』など。

※マネーポスト2016年新春号

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