「うちの親はまだ大丈夫」と思っていても、いつかは訪れる老い──。誰しもやがて体力が衰え、時には認知症に悩まされることも。だからといって恐れないで。片づけの伝道師・安東英子さんが“その時”に備えて、年末年始の帰省時にこそあなたがしておくべきことを教える。
たとえ「片づけは私が死んでからにして」と言われても、親が元気なうちにこそ、片づけはしておくべきと、5000軒の片づけを手掛けてきた『親の家の片づけ 決定版』や『そのとき、あなたは実家を片づけられますか?』などの著書がある安東英子さんは言う。
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親の家の片づけは、遺品整理と同等に考えてはいけません。あなたにとって大切な親御さんに一日でも長く生きてもらい、そして快適に過ごしてもらうためにも、できるだけ早く行ってほしいのです。
離れて暮らしていると、親の様子を把握するのは難しいもの。だからこそ、この正月の帰省を使って、短い時間で上手に片づけられるコツと手順をお伝えします。
まず、家のホコリや汚れがそのままになっていること。これは、視力の衰えによって引き起こされます。ちゃんと掃除しているとは言うけれど、部屋の隅に綿ボコリが渦巻いていたり、台所の壁がべたついていたり。
それは、高齢になって視力が衰え、ホコリや汚れが見えにくくなっているのです。目の老化は、あなたが思っている以上に進行が早く、親自身も自分が汚れが見えないほど目が悪くなっているという自覚があまりありません。
水晶体に含まれるたんぱく質が白く濁ったり、硬くなったりする「老人性白内障」は、目がかすむ、ぼやけて見えにくい、物がだぶって見える、光がまぶしく感じるなどの症状が表れます。個人差はありますが、早い場合では40才代から始まり、80才代ではほぼ100%の人が白内障になるといわれています。
また、薄暗い場所で物を見るのが困難になるため、より明るい光が必要になります。例えば60才の人が読書する場合は、20才の人の3倍の光が必要といわれています。ですから、子供であるあなたが、家の中にホコリがたまらない工夫をしてあげることが必要になってきます。