作家・落合信彦氏は現在の世界情勢に対し、「アメリカが衰退し、『決断できない』ことを見透かした中国のような無法国家やISのテロリストが闊歩して、世界がジャングル化した」と指摘する。食うか食われるかの無法地帯になったという意味合いだが、落合氏は日本も無縁ではないと警鐘を鳴らす。
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果たして、次なるアメリカの指導者はこのジャングル化した世界に秩序を取り戻すことができるのか。レーガンやロバート・ケネディのような芯のある政治家が現れるだろうか。 残念ながら、その希望はほとんど見えてこない。
米FOXNEWSの世論調査によると、アメリカ大統領選の候補者支持率は、民主党ではヒラリー・クリントンが56%、上院議員のバーニー・サンダースが31%。2人ともさらなる所得再分配を主張しており、特にサンダースは「民主社会主義者」を標榜する急進左派だ。再分配だけなら権力を握ればバカでもできるが、彼らからまともな外交政策が語られることはない。
一方の共和党は、「メキシコ系移民は麻薬や犯罪を持ち込むし、レイプ犯でもある」といった暴言がなぜか人気につながっている実業家のドナルド・トランプが支持率26%で首位。2位は小児神経外科医のベン・カーソンの23%で、この人物も「イスラム教徒にアメリカを委ねることはできない」といった過激な発言で知られている。こちらの2人は外交政策どころか、政治家としても素人と言うしかない。
アメリカは、政治家も選挙民も劣化してしまったのだ。「バラ撒き」を訴える政治家と、「メキシコ系移民はレイプ犯だ」と暴言を吐く男。思想は両極端だが、根本には「激増した移民と拡大した格差」という同じ問題が横たわる。その解決策を真剣に考えることなく、安易な「バラ撒き」か「排斥」を訴える候補者を支持するということは、国民全体の劣化に他ならない。
よほどの人物が出てこない限り、共和党に勝ち目はないだろう。すでに白人の割合は大きく減っている。黒人の95%は、民主党に投票する。2012年の大統領選では、65%のラティーノがオバマに入れた。その結果が今の世界のジャングル化だ。