これまでは世界というサバンナでプレゼンスを誇る「巨大なアフリカ象」のような存在だったアメリカは、いまや「傷ついた小さなカバ」になって水中に潜ってしまった。テロリストはパリだけではなくトルコのアンカラなど各地で無差別殺戮を繰り返し、ロシアはシリアに軍事介入するなど好き勝手やっているが、アメリカはそれすら制御できていない。
パリの同時多発テロのような惨劇が今後は世界各地で起き、脅威は増すばかりになる。安保法制を強引に成立させた日本も、ISにとってはターゲットだ。
その時、日本はどうすべきなのか。「アフリカ象」が横にいてくれたから日本はここまで来ることができたが、それがいなくなれば、裸でサバンナを一人歩いているようなものだ。
アメリカ一国に頼るのは、今後は絶対にやめるべきである。日本は自らの力で自らの国を守る仕組みを作らなければならない。日本の政治家の劣化も目を覆いたくなるほどだが、それを放置していては国の存立に関わるということを自覚すべきだろう。
※SAPIO2016年1月号