ライフ

京大総長の野性味が詰まった 現代のサバイバル術を説いた書

【著者に訊け】山極寿一さん/『京大式 おもろい勉強法』/朝日新書/778円

【本の内容】時にアフリカのジャングルでバッファローに追いかけ回され、半日ほど木の上から下りられなかったり、そもそも調査許可が下りなかったり。困難の数々を突破してきたゴリラ研究の第一人者が、その経験とそこから得られた知恵(勉強法)を余すところなく書いている。

【プロフィール】
山極寿一●やまぎわじゅいち/1952年生まれ。霊長類学・人類学者。ルワンダ・カリソケ研究センター客員研究員、京都大学大学院理学研究科教授などを経て、2014年10月より京大総長。人類進化を研究テーマに、ゴリラを主たる研究対象にして人類の起源を探る。『ゴリラとヒトの間』など著書多数。

 ハウツー本を思わせるタイトルからは想像がつかないが、いかに生きるべきかを考える若い人にとって指針となる刺激的な本だ。ゴリラの参与観察やフィールドワークを通して培われた深い洞察は、大人にとっても非常に参考になる。

「タイトルと内容が全然違うやろ?(笑い)これから大人になろうとする若い人に読んでもらえたらと思うし、将来を考えて悩んでいる子供にも読んでもらいたいですね」

 温顔で、笑うと、辺りの温度が1、2度上がる気がする。一昨年、自分では立候補していないのに、投票で京大の総長に選ばれた。予期せぬ記者会見で座右の銘を問われて、とっさに浮かんだのはゴリラの顔で、「ゴリラのように『泰然自若』」と答えた。フィールドワークで訪ねたアフリカの国は内戦や政情不安が続き、必ずトラブルはあったが、どんなときも解決策はあると考えてきた。

「もちろん、自分ひとりでは動けませんから、いろんな人の力を借りないといけない。どう借りるかを絶えず考えるんです」

 総長になって、経済人や政治家と会う機会が増えた。いま、産業界からいちばん求められるのは、学生に対話力、コミュニケーション力をつけることだそうで、この本はそれへの回答である。

「語学を身につけることも、もちろん大事やけど、相手の立場に立って物事を考えられたり、自分の中に引き出しをたくさん持っていたりということのほうが、本当の対話力だとぼくは思います」

関連記事

トピックス

矢部美穂と母の●さん
タレント兼実業家・矢部美穂が語るバー「YABEKE」の現状「あと5年は続けたい」「矢部家の人間が1人は居ないとダメ」
NEWSポストセブン
アーティスティックスイミング(シンクロ)北京五輪代表の青木愛さん(HPより)
《オープニングでMC松下奈緒の隣にいる美女》神田正輝が消えた『旅サラダ』に元五輪スイマーが大抜擢された意外な理由
NEWSポストセブン
ご心労が絶えない紀子さま(2023年、ベトナム・ハノイ。写真/時事通信フォト)
美智子さまの大腿骨骨折で紀子さまが介護の準備に奔走 今こそ問われる“雅子さまとの間にある見えない距離” 
女性セブン
パリ五輪の競泳女子でパラグアイ代表を務めたルアナ・アロンソ(インスタグラムより)
《目のやり場に…》パリ五輪選手村追放のパラグアイ20歳女子競泳選手が「過激SNS」で新たな活動をスタート「学費の足しに」
NEWSポストセブン
送検のため神奈川県警青葉署を出る宝田真月容疑者(時事通信フォト)
《闇バイトで強盗殺人》「本当にうちの孫がやったんですか…」実行犯・宝田真月容疑者の祖父が明かした“おじいちゃん子”だった孫
NEWSポストセブン
露出が多い投稿をしているのは“Hカップの浪人生で21歳”だそうだ(Xより)
《レストラン内で丸出し》相次ぐ「公共の場で脱ぐ」X投稿の問題点 集客目的で炎上バズりの裏にある「規制の限界」
NEWSポストセブン
俳優の織田裕二と柳葉敏郎
映画『室井慎次』新作、「スピンオフなのに異例の2部作」となった背景 柳葉敏郎はフジテレビの路線変更に困惑も 
女性セブン
30年以上ぶりにフジテレビのものまね番組に出演したコロッケ(時事通信フォト)
《32年前にフジテレビ断絶のコロッケが和解出演 》『ものまね王座決定戦』降板事件で「真っ黒だったスケジュール表が真っ白に」番組側との確執
NEWSポストセブン
つけ麺チェーン「三田製麺所」で撮影された問題の写真(Xより)
《あられもない姿に困惑》またも丸出し“浪人生”女性が〈どっちが好き??〉と店内で胸露出 『三田製麺所』は「顧問弁護士と協議の上で対応を検討」
NEWSポストセブン
大谷翔平の新居情報が流出してしまった(写真/AFLO)
《大谷翔平、受難再び》“30億円新居”情報の流出騒動 家具アーティストのSNS経由で特定され、“豪邸と寝室写真”がネット上を回遊 
女性セブン
ドラフト会議で注目を集める清原正吾さん
《清原和博の長男》清原正吾のプロ入り志望で母・亜希さんの葛藤 近くで見たプロ野球選手のシビアな現実、「一般企業に就職を…」との思いも 
女性セブン
物議を醸した兵庫県の風俗店に勤務している女性(Xより)
《批判殺到でX投稿を削除》しゃぶしゃぶ店で丸出し女性が〈どっち食べる〜??〉ニットたくし上げ胸露出 店舗側は「法的措置も含め厳正に対応する所存」
NEWSポストセブン