アメリカ大統領選挙の民主党予備選挙で支持を急拡大させているバーニー・サンダース上院議員は、「民主社会主義者」と自ら名乗り、格差是正を訴えて若者層からの支持が大きい。経営コンサルタントの大前研一氏は、今の日本こそ彼のような政治家が現われれば、政権奪取も可能だろうという。
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アメリカ大統領選挙で異変が起きている。民主党の予備選挙で当初は“無印”だったサンダース上院議員が支持を急拡大して“本命”とされてきたヒラリー・クリントン前国務長官に肉薄し、共和党の予備選挙でも不動産王ドナルド・トランプ氏が依然として高い支持率を維持しているのだ。大統領選の行方は予断を許さないが、私が注目したいのはサンダース氏躍進の意味だ。
サンダース氏は候補者の中でも最高齢の74歳だが、若者から圧倒的な支持を集めている。テレビ局の出口調査によると「30歳以下の支持率が85%」(ニューハンプシャー州予備選)と、クリントン氏に大差をつけた。
「民主社会主義者」を自任するサンダース氏は、若者層に向けて「君たちは虐げられている」「教育を受けるため、多額の借金を強いられる」「1%の金持ちのためだけでなく、全国民のために働く政府が必要だ」「億万長者の金は要らない」などと平易な言葉で格差是正を訴え、ウォール街などの富裕層と政治の癒着を批判。
具体的な政策としては「公立大学の授業料無償化」「大手金融機関の解体」「国民皆保険制度の導入」などを提唱している。こうした主張が若者の気持ちを文字通り“わしづかみ”にしているのだ。
実は、今の日本にこそサンダース氏のような政治家が必要だ。なぜなら、これまで日本では若い人ほど投票率が低いからである。今夏の参議院選挙から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるが、もしサンダース氏のように若者層から熱狂的な支持を集めて彼らを投票所に駆り出すことができる政治家が登場したら、圧勝するに違いない。