国際情報

習近平主席に「核心」の呼称 個人崇拝強化の背景

 中国では年初から、習近平国家主席のことを「核心」と呼び始めている。例えば「習近平国家主席という核心を断固支持しよう」とか、「習近平国家主席を核心とする中国共産党中央(あるいは中央軍事委員会)」というものだ。

 同時に、習近平主席自身や日本の官房長官に当たる中国共産党の大番頭である栗戦書・党中央弁公庁主任も「核心意識」を強化するよう呼びかけている。これはストレートに言うと、「習氏を最高指導者として崇拝せよ」というもので、ずばり個人崇拝の強化だ。

 あまりにも露骨な権力の誇示だけに、北京の著名な歴史学者である章立凡氏は「習近平に不忠な者がいることの証拠」と述べて、習氏の権力基盤はまだ固まっていないとの見方を示した。

「核心」という言葉が最初に使われたのは江沢民元主席で、「江沢民総書記を核心とする党指導部」などと使われた。これは最高指導部を構成する党政治局常務委員会でも、江氏が最高指導者であることを示す狙いがあった。

 次の胡錦濤指導部では集団指導体制を採用し、胡氏には最後まで「核心」という表現を用いられなかった。これは、客観的に言うと、江氏が影響力を残していたことから、胡氏には核心という言葉を使いたくても、使えなかったのだ。

 しかし、習氏は江氏に倣って、核心を継承した。というのも、胡氏は引退して、表舞台に出てこなくなり、江氏もさすがに老齢になったことや、自身の腹心だった主だった幹部が軒並み、習氏の主導する反腐敗運動で逮捕されてしまったことも関係があるとみられる。

 習氏は2012年11月のトップ就任から3年以上たち、党、軍、経済などで多くの分野で自身への権力集中を急いでいる。

 習氏は2月1日の軍の「戦区」設立大会で「核心意識」を強化するよう命じるとともに、「手本(とする)意識」の強化も要求。「手本」の対象も習氏を指しており、今後、個人崇拝を進める構えだ。特に、軍内では30万人の軍縮や大幅な機構改革などで一部勢力の習氏への反発は強いと伝えられるだけに、戦区設立大会での習氏の発言は意味深だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン