日本に関するデマを世界中にまき散らかしてきた中国は、今度はバチカンを舞台に日本を貶める新たな嘘をバラ撒こうとしている。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が、その中国の新たな戦略を解説する。
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「南京大虐殺」をはじめとする嘘によって日本を貶めてきた中国が、今、ローマ・カトリック教会の総本山・バチカンを巻き込んだ新たな謀略を進めています。再び、歴史を歪めようとしているのです。
日本軍が南京に入城する2か月前の1937年10月9日、中国河北省の正定という場所にあるカトリックのミッション(伝道団)の支部に強盗が押し入り、宣教師9人が誘拐、後に殺害される事件がありました。正定事件と呼ばれます。
最近になって中国は、この事件について、「日本軍が女性200人を要求」し、宣教師たちはそれを断ったために誘拐、殺害されたと主張し始めたのです。中国はオランダと共同でバチカンにそう主張し、200人の女性を救うために自ら犠牲になったとして、9人の宣教師の「列福」を申請したのです。
「列福」とは、「聖人」に次いで聖性の高い「福者」に列せられることで、列福が実現すれば、ローマ法王は9人の宣教師を聖なる人物として全世界のカトリック教徒に宣伝します。それは「日本の悪辣非道ぶり」と対になるもので、日本は世界11億人のカトリック教徒の非難に晒されることになるのです。
しかも、「列福」の後に日本が「そんな事実はない」と主張すれば、「福者を貶めた」としてカトリック教徒を敵に回すことになります。
もちろん中国の主張は大嘘です。中国がバチカンに対してそうした動きを始めたという情報を日本に最初にもたらしたのは、ジュネーブの国際機関で働く白石千尋さんです。白石さんは、当時のミッションを庇護していて事件を調査していたフランス政府の資料を調べました。