ライフ

『国家の品格』著者の妻がたからものについて綴るエッセイ

【著者に訊け】藤原美子さん/『藤原家のたからもの』/集英社/1512円

【本の内容】
「三冊の母子手帳」「ニューヨークの銀食器」「赤い子供服」など16の「たからもの」について綴られたエッセイ。どれも品々に込められた思い出が、手触りまで感じられるほど鮮やかに綴られている。そして巻末には夫・藤原正彦さんが「危うし、夫の面子」と題してエッセイを寄せている。そこにあった〈上手くなっている〉の言葉に、美子さんが「上から目線ですよね?」。曖昧にうなずいてしまいました。

 大ベストセラー『国家の品格』の著者である藤原正彦の妻・藤原美子は知る人ぞ知る名エッセイストだ。正彦が書くものに関しては必ず、最初の読者になるという。

「真剣に読まされるんです。台所にいても、エプロンを外して、赤鉛筆を片手に必死に読みます。最初の頃は、漠然と何かおもしろくないとか、送り仮名が間違っているぐらいしか言えなくて『送り仮名の美子さん』ってバカにされてました。でもだんだん、出だしはわかりにくいとか、ここを削ってここを膨らませた方がいいとか指摘できるようになって。その中で文章のリズムを覚えたのだと思います。それがとてもいい文章修業になりました。主人も父、新田次郎の文章を読まされ、同じように文章の呼吸を学んだそうです」

 正彦の文章に妻の話題が頻出するように、美子のエッセイにもたびたび夫が登場する。両者とも、ユーモアにくるんで相手をけなすというのがパターンで、内容とは反対に仲睦まじい様子が伝わってくる。

「私の父は化学の教授だったのですが、主人との結婚話が出たとき同じ理学部の数学科教授に主人の人柄について聞いたそうです。そうしたら『一生、退屈はしないと思いますよ』って言われたみたいで。それを聞いて父は安心したか心配したかはわからないのですが(笑い)。

 大変おしゃべりな人で、私が聞き役に回ることが多いのです。インタレスティングというか、とても刺激的な人ですね。ただ、原稿では自分で言ったおバカなことが私が言ったことになっていることがよくあって。いつか名誉棄損で訴えようと思ってます(笑い)」

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン