芸能

最終回間近 でも“あさロス”対策は抜かりなし

『あさが来た』公式HPより

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、いよいよ最終回間近の『あさが来た』に見る、NHKの“朝ドラ手法”に注目。

 * * *
 絶好調の『あさが来た』の最終話は4月2日(土)。いよいよ、あと2週を残すのみとなった。

 昭和の主婦に愛されたNHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)が再び社会現象として注目されるようになったのは、2010年上期の『ゲゲゲの女房』からだ。

 8時15分からだった開始時間を8時からにし、直結している『あさイチ』共々、盛り上げたことが功を奏して、2000年代後半、凋落の一途だった朝ドラの視聴率は劇的に上昇した。

 故・水木しげるさんの妻、武良布枝さんをモデルにした『ゲゲゲの女房』のヒロインは松下奈緒だったが、女性視聴者の心を奪ったのは水木しげる役の向井理のほうだった。それまで、9クール連続でドラマ出演していた“注目のイケメン脇役”で、主演ドラマは『傍聴マニア09』(読売テレビ・日本テレビ系)という深夜ドラマだけ。そんな向井は『ゲゲゲ~』で大ブレイクし、いまに至る。

 その『ゲゲゲ~』で漫画アシスタント役をしていたのは窪田正孝と柄本佑だったのである。窪田はその後、NHKで『下流の宴』や、朝ドラ『花子とアン』に出演し大ブレイクする。柄本は『あさが来た』でヒロイン・波瑠の姉役、宮崎あおいの夫役を好演。完全に演技派俳優のポジションを得た。

 このように、近年の朝ドラは、ヒロインよりも脇役陣に話題姓の高い俳優、女優を据えて好調を維持していると言っても過言ではないのである。

 そして、その話題作りをしているのが当のNHKだと言われている。

『あさが来た』で、もっとも注目を浴びた脇役といえば、「五代さま」こと、ディーン・フジオカ。NHKの宣伝担当によれば、無名なだけに、当初、問い合わせがほとんどなかったディーン・フジオカを「こんな人も居ますよ」とテレビ誌やスポーツ紙の記者らに「売り込んでいた」というのである。

 それがきっかけでジワジワと人気が出始め、その後は「こんなに他局から画像や写真の貸借依頼が来たのは初めて」というほど、ディーン・フジオカはブレイクした。

 宣伝活動だけではない。朝ドラの脇役として人気が出た俳優や女優を自局バラエティーやトーク番組の司会者に据えることで、人気や知名度上昇を手助けする策もNHKはもっている。

『純と愛』でヒロイン・夏菜の夫役だった風間俊介に、Eテレの『ハートネットTV「ブレイクスルー」』で司会やナレーションを。『あまちゃん』でGMT5のリーダー役をしていた松岡茉優に、『めざせ! 2020年のオリンピアン』で司会をさせていたのだ。

 風間と松岡は他局や映画で共演歴もあり、演技力もバラエティーでのトーク力にも定評があるが、そんな二人を全国区に育てあげたのは間違いなくNHKと朝ドラなのである。

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン