次に、歳を重ねるほど慎重さも必要になってくる「投薬」についてはどうか。前出・石原院長の解説。
「若い世代は身体機能が正常に働くので薬による低血糖は起こりにくい。世代や身体の機能によって薬の効き目が異なることを肝に銘じましょう。年齢によって処方される薬の種類にも違いが出てきます」
病気を治すために薬を飲むのに、薬で病気が悪化しては元も子もない。年齢に合わせた薬の飲み方を覚えたい。
日本老年医学会は2015年11月に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を公表した。高齢者が服用を避けるべき薬を紹介したガイドラインだ。
このうち糖尿病治療薬では、体内の糖質を尿とともに排出する『SGLT2阻害薬』、インスリンを多く分泌させるなどの効能を持つ『スルホニル尿素薬』は低血糖などのリスクがあるとして、「中止を考慮するべき薬物」のリストに含まれている。逆に高齢者に適しているとされる薬もある。
「持続期間が短いために、低血糖を招くリスクが少ないとされる『インクレチン関連薬』や『DPP-4阻害薬』は高齢者向きとされますが、値段が高いのが難点です」(同前)
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号