世界に知られる長寿大国の日本。「いつまでも元気で長生き」「目指せ、100才!」と、長寿を人生の目的とする風潮が強く、“世界最高齢”としてたびたびギネスに認定される。昨年は明治36年生まれの故・小出保太郎さん(享年112)、2014年には故・百井盛さん(享年112)が認定された。
また、京都市に住む105才の宮崎秀吉さんは世界最高齢スプリンター(短距離走者)で、マスターズ陸上105~109才クラスにおいて、100mと砲丸投げの世界記録を持っている。「90才の時は100才を、100才では105才を目標に競技を続けてきた」と語るなど、言葉通り生涯現役の人生だ。
そんな100才前後の人は、アラサーやアラフォーにあやかって、“アラハン”(アラウンド・ハンドレッド)と呼ばれ、その数は今急増している。統計を開始した1965年には、全国でたったの153人しかいなかったのに、昨年は初めて6万人を超えた。50年間で約392倍という猛烈な増加ぶりだ。
超高齢社会に突入するなか、『100歳のジャーナリストからきみへ』(汐文社)、『一〇三歳になってわかったこと』(幻冬舎)といった“アラハン本”が次々に出版されている。
『好奇心ガール、いま101歳』(小学館)の著者・笹本恒子さん(101才)は、その本のなかで、日本初の女性報道写真家としての人生とともに、100才で経験した2度の骨折やリハビリ、老人ホームへの転居などを赤裸々に綴っている。
年を重ねても、明るく元気に生活をしている秘訣として“好きなことをしている”ことや、“おいしいものを適度に食べる”という食事の仕方など、まさに人生の教材となっている。
『老人たちの裏社会』(宝島社)の著者でノンフィクション作家の新郷由起さんが、こうした長寿本ブームについてこう分析する。