「リタイアしてからの長い時間は絵空事ではなく、リアルな長さとして意識する人が増えました。でも、どう長生きすればいいかというお手本がない。人類始まって以来の長寿社会ですから。長寿のかたがたの著書は“教材本”なんです。
結婚式を挙げるときに『ゼクシィ』を買うのと同じ。成功例も失敗例も学んで、自分の年の取り方を決めたいんです。どうすれば心豊かに生きられるかを模索している人たちが指南本として欲しているんだと思います」
ただの長寿ではなく、「元気で長生き」。そのための食事法、呼吸法、血流の改善、体操、ストレッチ、ヨガ、認知症予防のための頭のトレーニングなど、「健康で長生きするため」「ピンピンころりを実現するため」のハウツーは、本だけでなく、雑誌、テレビ、新聞などでも繰り返し大きな特集が組まれている。
庭いじりが趣味で、家族に反対されながらも自転車で街に出る90才の女性が言う。
「春になると気持ちが元気になりますね。今年は畑に何を植えようか、花はどれにしようか、庭を見ながら趣味の短歌も作りたいな、とあれもこれもしたいことがたくさん。たくさん外に出て体を動かして、若い人ともおしゃべりして、寝たきりにならないように気をつけています。孫も結婚したし、ひ孫を見るまではまだまだあと20年くらいは元気でいたいなと思っています」
もっと元気に! もっと長生きに!! 私たち日本人の願望はとどまるところを知らない。
※女性セブン2016年4月21日号