彼女を知る人は皆、冗談かと笑って聞いていただけに、その死に驚いている。ただ、改めて振り返ってみると、美代子さんは、昨年12月に99才になってから、その言動に明らかな異変があったようだ。

「予兆というか、確かに死の準備をしていたように思うんです。業者を呼んで家の中のものを整理していたりね。亡くなる10日前に『重くて運べないから手伝って』と言われて、ガスヒーターを外まで運びました。2月でまだ寒いのに大丈夫かなぁと心配していたんです。ずっとタイミングをみていて、生きるのは100才になる直前までって決めていたのかなぁ…」(近所に住む男性)

 なぜ美代子さんはそれほどまでに「100才」と「長生き」を否定していたのだろうか。もうひとつの口癖、「友達がいない」は、聞き逃せない言葉だ。前出・近所に住む男性が言う。

「孤独なイメージはなかったけど、やっぱり同じ年頃の友達はいなかったんじゃないかな。10年くらい前までは同年代の仲間とゲートボールをしていたのに、みんな亡くなったり、病気になったりして解散しちゃったんだよね。ひとりでウオーキングするようになったのもそれからかな」

 公園仲間の、前出・80代女性は、美代子さんを慕っていたけれど、埋められない年の差があったと話してくれた。

「やっぱり年代が違うからかしらね、話が合わないこともありました。些細な話しかしてないから具体的には思い出せないんだけど、そんな些細な話でも合わないなと思うくらいですからね。吉田さんも同じように思っていたのかもしれません」

 都内に住む80才主婦はこの話を聞いて、「すごくわかります」とうなずいた。

「夫がいなくなるより、同年代のお友達がいないほうがさみしく感じるんですよね。最近は喪中のはがきが届くたびに、『あぁまた、お友達がいなくなってしまったわ』と落ち込みます。この穴は子供や孫でも埋められない。なんだかひとり取り残されてしまったような孤独を味わいます」

※女性セブン2016年4月21日号

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