そして4月8日、『“世界でいちばん貧しい大統領”ムヒカ来日緊急特番~日本人は本当に幸せですか?~』(フジテレビ系)で、ムヒカ氏と対面した池上彰(63才)は、彼を「世界でいちばん豊かな大統領」と評した。また資産は推定23万円の愛車のみというムヒカ氏を引き合いに、「安倍さん(総理)は1億円を超えてますから、だいぶ違うなって感じですね」と苦笑した。
精神科医の香山リカさんは、このフィーバーぶりをこう見ていた。
「震災の後にブータン国王夫妻が来日したときも、やはり同じように日本の多くの人が“幸福”について考えましたよね。注目するということは日本人の多くが頭ではわかっているんだと思うんです。物質的豊かさや収入への欲求は止められないけど、やっぱり本当は気持ちの豊かさとか充実した時間の過ごし方とかそういうことが大事だよなって。だからこそ、ムヒカ元大統領のぶれない精神の強さを目の当たりにして、自分自身も確認したいというところもあるのではないでしょうか」
【ムヒカ氏の波乱の半生】
1935年5月20日、ウルグアイの貧困家庭に生まれる。青年期に極左武装組織に所属し、ゲリラ活動に従事。上流階級から搾取した富を労働者へ分配し民衆の人気を集めたが、4度の逮捕(うち2回脱獄)、約13年間の過酷な獄中生活を送った。1995年に左派中道政党から立候補し当選、上院議員、農牧大臣を経て、2010年、第40代ウルグアイ大統領に就任。
任期中、妊娠人工中絶、大麻、同性結婚の合法化などを行った。大統領は在任期間は1期(5年)と決められているため、現在は一国会議員。『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』(KADOKAWA/角川文庫)など、関連書籍は計21万部を超える大ヒット。
※女性セブン2016年4月28日号