日本人の女性にも良い変化を感じています。30年前は、女性は男性並みにならないと社会に認められないと、焦りを感じていたせいかもしれませんが、男っぽい女性が多かった。しかし、今は、女性らしさを保ちながらも、男性と対等に議論できるような、優秀な若手の女性が育っているように感じられます。
“住み良い国日本”ですが、日本株を買うかと聞かれれば、答えはノーでしょう。まだ近代化の過程にあって成長している中国と比べれば、日本の成長率はもう高くはない。拙著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いた頃は、日本には将来に向かって一歩一歩前進するという楽観ムードが漂っていました。子世代は親世代よりも良い生活ができると信じられた。しかし、現在では、将来を憂慮し、現状を維持できれば安泰と考えている日本人が多い。
しかし、そんな憂慮は、現在トランプを支持しているような米国人が抱えている不満と比べたら、それほど深刻なものではないと思うのです。日本の生活水準は、決して低くはないのですから。
●取材・構成/飯塚真紀子 (在米ジャーナリスト)
※SAPIO2016年5月号