国内

熊本復興 「飲む」「行く」「買う」のが最高の支援だ

阿蘇山の夕陽

 熊本地震発生から1か月が過ぎようとしている。今我々ができることはなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が考える。

 * * *
 熊本、大分を中心とした九州地方を大地震が襲ってから1か月が経とうとしている。余震が続くなか、いまなお車中泊を余儀なくされる人々もいる。本来なら暮らしに衣食住は欠かせないが、それだけでは「いつもの暮らし」には戻れない。衣食住以外にも、生きるためのよすがは必要なのだ。

 5年前の東日本大震災のあと、避難所生活を送っていた飲食店店主から「やるべきことが見つからない時期が一番つらかった」と聞いた。その店主は避難所で調理を担当するようになって「むしろ自分が救われた」と言っていた。暗闇に差すわずかな光に力を与えられることがある。そしてそのわずかな光を引き込む奉仕のようにも思える行為自体が、自らのよりどころになる。

 生産者農家や飲食店といった、小規模事業者や個人事業主の場合はなおさらだ。目の前にある「やるべきこと」が何重もの意味で救いになる。「よりどころ」のほかにも、仕事が減ればその分だけ生鮮品や育てた作物がロスとなる。ただ売上が下がるだけではない。小規模事業者にとって、ロスという永遠の不良在庫が与える打撃は大きい。

 例年なら、観光客でにぎわう熊本の黒川温泉や大分の由布院なども地震直後からキャンセルが相次いだ。徐々に客足は戻ってきているというが、地震以前にはまだほど遠い客入りだという。それでも現地は次々に平常営業に戻りつつある。熊本の黒川温泉では29軒中25軒が営業中。由布院でも温泉観光協会加盟店の9割以上にあたる168軒、宿泊施設も91軒中77軒が営業を行っているという。

 交通機関もGWを前に続々復旧した。一部区間が不通となっていた九州新幹線は27日に全線開通。一部通行止めとなっていた九州自動車道も、GW初日の午前9時に全線が開通した。現在、復旧していない主要路線は、震源に近いJR豊肥線の肥後大津(熊本)と豊後萩(大分)間、ローカル鉄道の南阿蘇鉄道、それに大分自動車道の由布院ICと日出JCT間の17kmという3路線のみ。

 熊本と大分の行き来の便はよくないが、福岡などを起点とした縦断ルートは開通した。大分道もGW明けの応急復旧に向けて、急ピッチで作業が進んでいるという。

 折しも熊本は名産品であるスイカの出荷の最盛期。だが、地震のせいで売り物にならなくなったスイカも多いという。愛知県の大村秀章知事が「熊本の酒で宴会を」と呼びかけたが、酒にしても工場損壊や在庫破損など大きな被害を受けた蔵元もある。それでも予震や本震発生後に比べれば、物流も戻りつつある。

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン