国際情報

蔡英文氏 中台関係の主導権獲得を日米カード駆使で画策

親中派の馬英九氏から独立派の蔡英文氏へ Reuters/AFLO

 5月20日、蔡英文氏の台湾総統就任式が行われる。中国は独立志向が強い民進党政権誕生を前に台湾側をけん制しているが、蔡氏らは表向き静観の構えだが、水面下では着々と日米両国との関係強化を図っている。その具体策が南シナ海上で台湾が実効支配する太平島の軍事基地を米軍に提供、さらに日本の潜水艦技術を米国経由で入手、製造するとの驚くべき秘密計画だ。現地からジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。

 * * *
 台湾在住の中台関係筋によると、このようなリスク回避を前提に進めているのが米台間の密約だ。それは、台湾が南シナ海で実効支配している太平島内の軍事基地を米国に提供するとの内容だ。

 太平島は南沙諸島内にあり、すでに1150mの滑走路が完成。台湾空軍は2007年12月、戦術輸送機C-130ハーキュリーズの離着陸に成功。馬英九政権は2014年2月から太平島の埠頭新設や滑走路改修などの工事を始め、年内にも新たな埠頭が完成予定だ。「蔡英文は米軍に基地の使用権を認める方針を固めている」と同筋は明かす。

 一方の中国は西沙(パラセル)諸島の永興(ウッディ)島の埋め立てを進め、滑走路などの軍事施設を建設すると同時に、地対空ミサイルを配備したと伝えられる。

 習近平は3月、ワシントンで行われた世界核サミットで、オバマ大統領と会談し、「中国の主権の侵害を許さない」などと述べ、米軍による「航行の自由作戦」を批判するなど、南シナ海の領土主権問題で強硬な姿勢をみせた。

 中国は南シナ海における軍事基地建設をなし崩し的に既成事実化しているが、現状では米軍の対抗措置は限られている。しかし、米軍が太平島の軍事基地を使用することができれば、中国軍にとって大きな軍事的脅威となるのは間違いない。太平島と永興島は600kmしか離れておらず、F-15戦闘機ならば、ほぼ30分あまりで到着できるだけに、米軍にとって太平島の軍事的な役割は極めて大きい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

依然として将来が不明瞭なままである愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
愛子さま、結婚に立ちはだかる「夫婦別姓反対」の壁 将来の夫が別姓を名乗れないなら結婚はままならない 世論から目を背けて答えを出さない政府への憂悶
女性セブン
28歳で夜の世界に飛び込んだ西山さん
【インタビュー】世界でバズった六本木のコール芸「西山ダディダディ」誕生秘話、“夢がない”脱サラ社員が「軽い気持ち」で始めたバーダンスが人生一変
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン