「早起きキャンペーン」専用端末


 今般、ラッシュ時間帯の混雑解消は鉄道会社が取り組まなければならない課題になっている。混雑は繁盛している証でもあるが、一方で遅延を引き起こす要因にもなる。だから鉄道会社は混雑を放置できない。

「国土交通省はピーク時の混雑率を基本的に180パーセント以下にするように鉄道会社に通達しています。混雑率を下げるには、列車の運転本数を増やすのがもっとも効果的ですが、東西線は運転本数をこれ以上増やすことができません。運転本数を増やすには、線路を増設するなどの大規模な工事が必要になります。

 東京メトロでは東西線の混雑対策として飯田橋駅-九段下駅間に折り返し線を建設中です。また、南砂町駅で線路・ホームの増設工事を進めています。これらが完成すれば、運転本数を増やすことができます。しかし、大規模工事なので時間がかかります。その間にも、混雑を放置するわけにはいきません」(東京メトロ広報部)

 東京メトロは乗り降りをスムーズにし、少しでも混雑緩和しようと東西線の車両にワイドドア車を導入するといった対策も講じている。それでも、東西線の混雑が改善する兆しは見えない。ハード面での対策を出し尽くした東京メトロは、2005(平成17)年から“早起きキャンペーン”というソフト対策を打ち出した。

 7月8日まで実施されている現在の「東西線早起きキャンペーン」は、PASMO、Suicaなどの交通系IC乗車券で東葉高速線東葉勝田台駅~東西線門前仲町駅で乗車し、東西線南砂町駅~落合駅までに降車、または乗換する人が対象だ。早めに設定された時間に駅に設置されている専用端末にIC乗車券をタッチするだけで、最高2万円の商品券またはクーポン券の抽選に応募できる。

「東西線は1日に136万人が乗降する路線ですが、”早起きキャンペーン”はいつもより早い時間帯に電車に乗ってもらうことでピークタイムの乗客を分散しようという意図があります。

 もともと、同キャンペーンは乗客が厚着になる冬シーズンに実施されていました。厚着だと、同じ乗客数でも車内が窮屈に感じるので、そうした不快感を緩和しようという狙いがあったのです。それが、昨年からは春にも実施するようになりました。春にも“早起きキャンペーン”を実施することにしたのは、新入生や新社会人にも早起きの習慣をつけてもらおうと考えたからです」(東京メトロ広報部)

 昨年実施された春と冬のキャンペーン参加者は、どちらも約1万5000人。いまだ“早起きキャンペーン”を知らない沿線在住者も多いが、「少しずつ沿線住民にも認知されるようになり、参加者は微増傾向にある」(同前)という。

 東京メトロは東京の都心部だけに路線を有しているので、“一人勝ち”の鉄道会社と形容されることもある。しかし、利用者が多ければ多いで、何かしら対策を求められる。贅沢な悩みと言われるかもしれないが、鉄道事業者の悩みは尽きない。

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