見た目は、かなりゴテゴテしている。今度のNSXはアメリカで企画され、生産もアメリカ。もはやアメ車と言っていい。日本へは逆輸入の形になる。
価格は、現地アメリカで15万6000ドル(約1700万円)から。初代が800万円からだったのに比べると断然高くなったが、この26年でフェラーリの価格も2倍以上になっている。アメリカではこの間に平均年収が約2倍になったので、値上げとも言い切れない。バブル崩壊以降の日本が先進国中の負け組なのを実感する。
パワーは大幅にアップしている。初代が3リットル・V6で280馬力だったのに対して、新型は3.5リットル・V6ターボに電気モーターを3個組み合わせたハイブリッドで、最高出力は570馬力。価格も2倍、パワーも2倍だ。
ただ、プロトタイプ(試作車)を試乗した同業者によると、今回もNSXの乗り味はマネキン的で、あまり情感に訴えてこなかったという。初代NSXは、乗り味はともかくとして、日の丸を背負ったゼロ戦の香りがしたが、今回はアメリカ製。グラマンの逆輸入だろうか。美女への効きも値段の割には期待できない。「やっぱりホンダより、フェラーリやポルシェの方がステキだわ~」となりそうだからである。
ならば、我らオッサンの青春の怨念がこもった初代NSXを中古でゲットする方が、人生の復讐劇としてアリではないだろうか? 価格はおよそ300万円から。その価格帯だと年式は初期型の1990~1992年製ばかりで、走行距離も10万km前後の老兵だが、国産車だけに信頼性にはそれほど問題ないはず。四半世紀たってみて、「クルマはやっぱり信頼性だな。国産バンザイ!」とひとりごちることもできるだろう。
ちなみに初代NSXの中古車は、走行距離が短めだとどんどん価格が跳ね上がり、硬派グレードのNSXタイプR(1992~1996年製)は約2000万円、モデル末期の2002年に発売された「NSX-R」は、超レア物につき価格不明(数千万円?)となっている。
※週刊ポスト2016年5月6・13日号