医師からは処方された薬を飲むことと同時に、「奥さんと顔を合わせる時間を極力減らすように」とアドバイスを受けた。実践すると、少しずつ症状は改善しているという。メンタルヘルスに詳しい産業医の下村洋一氏は、「A氏は典型的な『妻源病』の症状です」と解説する。
「仕事一筋で頑張ってきたプライドが高い男性ほど陥りやすい。会社では評価されてきたのに、家では妻から子供を叱るようにダメ出しされる。現役時代のように同僚と酒を飲んで憂さ晴らしもできないため、ストレスは溜まる一方です。動悸やめまい、発汗などが代表的な症状として現れます」
定年を迎えた男性が「妻源病」に陥りやすいのは、身体的な理由もある。医療法人医新会理事長の横山博美氏が解説する。
「女性だけでなく男性にも更年期障害は存在します。前立腺の不調やテストステロンという男性ホルモンの低下によって頻尿や尿漏れなどの排尿不全や勃起障害が出やすくなる。すると同時に精神的にもストレスを感じやすくなるのです」
※週刊ポスト2016年5月27日号