『週刊ポスト』(5月6・13日合併号で特集した〈この「老人ホーム」がすごい! 厳選ランキング250〉は読者から大反響を呼んだ。
ランキング企画のポイントは「施設選びのプロが選んだ」という点にあった。本誌は、関東・関西・東海地方の老人ホーム紹介業者の相談員による史上初めてのガチンコ投票を行ない、各地の施設を順位づけした。
そのため、発売後には「相談員というのはどんな人たちなのか?」「紹介業者についてもっと知りたい」といった声も寄せられた。たしかに、経験したことがないと、「老人ホームの選び方、入り方」は具体的にイメージしにくい。都内に住む50代男性はこんな悩みを語る。
「一人暮らしをしていた母が転倒骨折して入院しました。退院しても元の暮らしに戻るのは難しそうなのでいいホームを探してあげたいのですが、数が多い上に、何を基準に選べばいいのかわからない。見学に行くにも時間は限られているし、病院に聞いても詳しいことをあまり知らない」
そうしたニーズに応える存在として注目されているのが、利用者と施設の「橋渡し役」といえる紹介業者だ。施設への入居を希望する本人や家族から要望を聞き取り、相性がいいと思われる老人ホームを紹介する。
もともとは行政や病院のケースワーカーが利用する「プロが頼るプロ」というビジネスだったが、近年は個人でも気軽に相談できる環境が整ってきている。東京都と神奈川県に相談室を置く紹介業者・ケアミックスの柴田彰社長が説明する。
「相談にいらっしゃる方の多くは、ネット検索で弊社サイト(お探し介護)を見つけて電話をくださいます。『老人ホーム紹介』といったキーワードにお住まいのエリアを加えて検索すると、都市部なら複数の業者が見つかるはずです。
また、弊社を含めた紹介業者の多くは、地域の病院とも密に連携を取っているので、“病院に所属するケースワーカーに教えてもらった”という方も多いです。
連絡をいただいたらすぐに日取りを決めて、直接お会いします。病院やご自宅にうかがうこともあれば、近所のファミレスや喫茶店でお話をすることもあります。どんな施設がいいのか、予算はどのくらいか、何が希望で何が不安か、といったことを聞いていきます」
入居希望者のニーズは様々であるため、“マッチング”を成功させるには本人や家族から幅広い情報を聞き取る必要があるのだ。