「老人ホームの選び方、入り方」は、経験したことがないと具体的にイメージしにくい。そこで注目されているのが、利用者と施設の「橋渡し役」といえる紹介業者だ。施設への入居を希望する本人や家族から要望を聞き取り、相性がいいと思われる老人ホームを紹介する仕事をする。彼らは多くのホームを訪問し、優秀な業者は有益な情報を持っている。
だが、紹介業者ビジネスに詳しい高齢者住宅コンサルタントの濱田孝一氏はこんな注意を促す。
「老人ホーム紹介業は歴史が浅く、相談員になるための資格などもありません。そのため、非常に熱心な業者がいる一方、そうとはいえないケースもある。成約した際の手数料も含め、紹介業者と施設がどういう関係にあるのかも、利用者にはわかりづらい。これから環境やルールは整備されてくるでしょうが、現時点では玉石混淆です」
そこで、濱田氏に紹介業者選びのポイントを挙げてもらった。
●相談員が施設の「ソフト面」に詳しいか
紹介業者が頼りになるのは、相談員が施設に足繁く通っているからこそ。しかし、中にはそれをやらない業者もある。
「施設の広さや個室の間取り、スタッフと入居者の比率といった『数字』をスラスラと説明されると、つい“この相談員は詳しそう”と思ってしまいがちですが、そういったハード面のデータは、施設に行ったことがなくても資料からいくらでも説明できます。
相談員自身が施設に行って見聞きしたことを説明してくれるかがポイントです。こちらから『食事の味は?』『施設長はどんな人なの?』といったソフト面についての質問をしてみて、口ごもるようなら注意が必要です」(以下、「」内は濱田氏)
●施設見学前に本人、家族の話を相談員がよく聞くか
「相談員が施設について詳しいのは当たり前です。マッチングが仕事である以上、施設だけでなく入居希望者にも詳しくなろうとするのがいい相談員です。熱心な相談員は既往症、持病にとどまらず、趣味やこれまでの職歴なども聞いて、少しでも入居希望者のことを知ろうとする。そこまでやる相談員なら信頼できるでしょう」