これから夏にかけて、テレビCMや街角のポスターで目にするようになるのが、水着姿で微笑む美女の姿だ。日本におけるキャンペーンガール(キャンギャル)のパイオニアは前田美波里といわれているが、水着姿のキャンギャルは大きく分けて2種類。1つは繊維メーカーによる「新作水着のプロモーション」のためのモデルである。
後の大女優を数多く輩出したのがユニチカのスイムウェアキャンペーンモデル。内田有紀(1993年)、本上まなみ(1995年)、米倉涼子(1996年)が代表的だ。同社はマスコットガールというキャンペーンも展開(2000年にスイムウェアと統合)。こちらからは風吹ジュン(1974年。スイムウェアと兼務)や紺野美沙子(1979~1981年)らが輩出された。
紺野はカメラ好きの叔父の写真出品がきっかけでオーディションを受けることになったが、水着審査を「自信がない」と拒否。それでも合格したという逸話を持つ。そして1980年にはNHK連続テレビ小説『虹を織る』のヒロインとなった。
東レキャンペーンガールからは山口智子らが輩出された。山口は審査員に「胸がないねえ」といわれると、腕立て伏せや牛乳を飲むことでバストアップを図り、堂々としたポージングを見せて1986年のモデルに選ばれ、1988年には朝ドラ『純ちゃんの応援歌』のヒロインに抜擢された。1987年の杉本彩も、ここから羽ばたいた一人だ。
松嶋菜々子は旭化成の提供番組『なるほど!ザ・ワールド』(フジテレビ系)の放送10周年とタイアップした1992年のキャンペーンガールに選出された。同年のアサヒビールのソフトドリンク部門でも選ばれて、1996年の朝ドラ『ひまわり』で女優として開花した。
「新作水着や化粧品のキャンギャルは女性に共感される要素を持つ必要がある。女優としても売れる存在感があり、そのため国民的番組である朝ドラヒロインに続々選ばれたのでは」(社会学者の太田省一氏)
水着キャンギャルの「当たり年」とされるのが1999年だ。東京スイムスーツ協会(現在の日本スイムスーツ協会)主催の「水着ファッションショー」には7社のキャンギャルが勢揃い。その中には東レの菊川怜や、旭化成の片瀬那奈など、今も第一線で活躍する女優たちがいた。近年では、三愛の菜々緒(2010年)がドラマ『サイレーン』で見せた悪女役でブレイクする。
さてキャンギャルのもう1つの役割として、水着姿で企業の広告活動を行なうというものがある。カネボウ化粧品は城戸真亜子(1981年)、麻生祐未(1985年)、鈴木保奈美(1986年)、大塚寧々(1989年)をいずれも大学生時代に採用した。