「現在こそ女性の4年制大学進学率は45%を越えるが、1980年代は12~14%程度。高学歴なのに大胆な水着姿になることの価値が高かった」(太田氏)

 初代にアグネス・ラムを選んだ車載音響機器メーカーのクラリオンは、烏丸せつこ(1980年)や宮崎ますみ(1985年)、蓮舫(1988年)などがグラビア路線を継承。その流れを決定的にしたのが1990年のかとうれいこである。

「1990年代に入ってグラドルというジャンルが確立し、キャンギャルの需要が増えた。クラリオンガールはその後、大河内志保(1992年)、立河宜子(1993年)、原千晶(1995年)などのグラビアスターを生みました」(太田氏)

 同じく初代にアグネス・ラムを起用した大磯ロングビーチからも山田まりや(1997年)、佐藤江梨子(1999、2001年)などのグラドルが誕生している。

 居酒屋の壁などによく貼られていた、水着姿の美女がジョッキ片手に微笑むビール会社のキャンギャルも馴染み深い。バブル景気に沸く1980年代後半に誕生し、逸材が続々発掘された。キリンビール・飯島直子(1990年)、サッポロビールのC.C.ガールズ(1992年)、サントリー・釈由美子、アサヒビール・伊東美咲(ともに1999年)や井川遥(2000年)などが脚光を浴び、彼女らはグラビアを経て女優に転身した。

 航空会社は主に沖縄キャンペーンで水着キャンギャルを起用。ANAは1985年に鷲尾いさ子が「太陽直下、ガンバルクイーン」、1987年に石田ゆり子が「踊ろよ、フィッシュ」、JALは1983年に鳥越マリ(現・まり)が「マリン・マリリン、すてきです。」というフレーズで話題をさらった。

「スチュワーデスになれれば」という動機で応募した斉藤慶子は1982年の「JAL沖縄キャンペーンガール」に選ばれると芸能界入り。同じくJALでは1985年の吉川(現・君島)十和子が代表的。キャンペーンではスチュワーデス姿を披露した。

 財前直見は高校卒業後、レコード会社に就職予定だったが、1984年のTDA(東亜国内航空)のキャンギャルに選出されると、両親の反対を押し切って芸能界入りを決意。大きなリスクを取って挑戦するほどキャンギャルにはステータスがあったのだ。

■構成/岡野誠

※週刊ポスト2016年6月3日号

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