マウンドに立てば163kmを投げ込み、打席に立てば安打を続々。そして本塁打も放つ長打力。そんな選手はメジャーリーグにもいない。高校時代からメジャー挑戦を公言してきた「ショウヘイ・オオタニ」の名は、MLBでも有名だ。日本ハム・大谷翔平(21)の二刀流は、メジャーで通用するのか?
「早く彼を見たい」と目を輝かせて語るのは、サイ・ヤング賞3度の現役メジャー最強投手、C・カーショー(ドジャース)だ。高校時代には、登板がない日に一塁手として出場したスラッガー。DH制のないナ・リーグで“恐怖の9番打者”として快音を響かせる。
「ツーウェイ(二刀流)をやるには特別な才能が必要だ。俺にはその力がなかった。投手ならダルビッシュ、打者ならマツイ(秀喜)のような選手だというなら、メジャーでやれると思う」
「エースで中軸打者? クールだな」と身を乗り出すのは、投手史上最高額(7年間で2億1700万ドル)で今季レッドソックス入りしたD・プライスだ。
「先発とDHなら可能だよ。タフなことは山ほどあるだろうが、チャレンジを見たい」
ヤンキース・田中将大の同僚でメジャー屈指のセットアップマン、A・ミラーは、「メジャー投手の多くは、学生時代は好打者だった。でも、ドラフトされた時点で二刀流の夢から覚める。その夢を実現し続けているのは驚きだ」と語る。昨季、リーグ最多のホールド数を記録したエンゼルスのセットアッパー、J・スミスも、「リトルリーグのようなことが、メジャーで起こる。何て素晴らしいことなんだ!」と、お茶目な表現で目を丸くした。
イチローの同僚でマーリンズの若きエース、J・フェルナンデスは羨ましさを隠さなかった。
「できることなら俺も二刀流をやりたいよ。今さら無理なんだろうけど、ならば彼を間近で見たい」
強打者たちからも称賛の声が上がる。昨季26本塁打、99打点で新人王を獲得したC・ブライアント(カブス)は、同年代の日本人の存在を知ると、「ワォ、かっこいい!」と無邪気に叫んだ。
「僕も高校時代は先発のパワー投手だったけれど、二刀流をやるという発想はなかった。想像を超えるよね」
メジャー15年目のヤンキースの中軸、M・テシェーラ(2009年の本塁打王)は目を細めて語った。
「投げて打つというのは野球少年なら誰でも夢見るけど、現代野球はベーブ・ルースの時代と違って細分化されているから、投手と打者を兼ねるのは難しい。実にエキサイティングだ」
大谷が2014年に記録したシーズン2桁勝利(11勝)、2桁本塁打(10本)は、1918年のルース以来の快挙。野球の神様に肩を並べる「日本のワンダーボーイ」は、メジャーリーガーにとっても夢の存在なのだ。