まず投手陣の崩壊が大きい。6月までリーグトップの防御率3.54と安定していたが、7月以降は4.64に急降下。特に5月に4勝負けなしで月間MVPに輝いたエース・紀藤真琴が、9月に5連続KOと不振を極めたことが響いた。
攻撃面では主砲・江藤の離脱だ。8月29日の巨人戦で、サードを守る江藤がイレギュラーバウンドを顔面に受けて眼窩底骨折。戦線を離れてしまった。
「江藤は離脱まで打率3割1分4厘、本塁打32本、79打点と文句なしの4番でした。当時は1番の緒方孝市、2番の正田耕三がつないで3番野村謙二郎、4番江藤が返し、5番金本知憲と6番ロペスがダメ押しをする得点パターン。文句なしに12球団最強の打線でした。
今年の広島も同様に打線に厚みがある。田中広輔、菊池涼介の1、2番コンビが出塁し、3番の丸佳浩がチャンスを広げ、4番エルドレッドが生還させる。その後ろには鈴木や新井貴浩が控えている。しかし6月16日、エルドレッドが右大腿二頭筋を痛め登録抹消になった。20年前と同じ4番の離脱……、嫌な予感がしてなりません」(スポーツ紙広島番記者)
そう考え出すと“慶事”のはずの連勝や3試合連続決勝本塁打までも“悲劇の始まり”に思えてしまうのは、ペナントから長く遠ざかっている広島ファンの性なのかもしれない。
※週刊ポスト2016年7月15日号