「日本一チャラい東大生」としてテレビなどにも出演する東京大学・理科III類(東大理III)1年生の針間貴己くん(19才)。大学受験の最高峰に現役合格した彼は、本誌5月26日発売号『わが子を東大へ!』に登場し、「親にできることは何もない」と言い切った。
そして彼は、3人の息子を東大理IIIに合格させた母親として『受験は母親が9割』(朝日新聞出版)などの著書のある佐藤亮子さんの名前を挙げてこう語った。
「人生の目標があって、そのためにひとりで受験を乗り越えてきた自分にとって、佐藤さんの言う“恋愛禁止”とか、“靴下を履かせてあげる”という言葉は信じられない。同じ理IIIでも受験に対する考え方が全然違うから、一度話してみたいです」
そんな針間くんの熱いリクエストでスペシャル対談が実現した。
世間一般から見たら、子供3人が大学最高峰の東大理IIIに通う佐藤ママは、子育てに大成功したといってもいいだろう。しかし針間くんは「なぜ大学に行くのか、その動機の方が重要」と訴える。
針間:理IIIに行くことが大切なのではなくて、理IIIに行く動機、何を学ぶかが最も重要だと思うんです。だって、人生の目標はお母さんが教えてくれるわけじゃないですよね?
佐藤:針間くんの「人生の目標」って何?
針間:ぼくは、医療系のベンチャー企業を立ち上げたいと思っているんです。5才の時に家族旅行で、ドバイやアフリカなどを回ったんですが、貧富の差や、アフリカにはまだまだ医療が行き届いていないのを目の当たりにして。
佐藤:でもね、そういう「目標を見つける」ことは、大学に入ってからできるんじゃないかな。ましてや医学部は6年間あるんだし。
針間:でも、医師免許を取るための6年ですよね。例えば、何となく勉強ができるから理IIIに入って、将来の夢が変わってしまったらどうするんだろうって思うんですよ。人生なんてそんなもんだといえばそれまでなんですが、芸人になりたくて吉本の養成所に行く人もいるかもしれないし、野球選手とか指導者を目指す人もいるかもしれない。
結局、自分の強い意志がなければ、すべてが中途半端になってしまうんじゃないんですか?
佐藤:うんうん、針間くんの言うこともよくわかる。でも普通に生きてきたら、18才までに何かになりたいって固く思うのは難しい。そういう子が、とりあえず上位の大学を目指すのは悪いことだとは思わないですね。
針間:確かに、環境や立場によって難しいことはあるかもしれないけれど、意識して生きていれば絶対目標は見つかると思います。
例えば、社会問題に関心を持ったり時事ニュースをもっと見たりするべきだと思いますね。熊本地震の報道を見て防災都市計画の分野に進もうとか、何か感じることがあるかもしれない。自分の持つ力を何にどう生かすか、それが大事だと思います。