日本モニターが7月7日に発表した「2016上半期タレントCM起用社数ランキング」で、男性部門は嵐・相葉雅紀(33)が12社で1位となり、女性部門はマツコ・デラックス(43)が12社で1位となった。マツコが「女性」枠に入っているわけだが、この結果を見ると現在のCM界ではマツコのような女装家も明確に受け入れられているといえよう。
CMタレントのキャスティングを考える大手広告代理店社員は、いわゆる「女装家」や「オネエタレント」がスポンサーからも視聴者からも受け入れられている理由をこう語る。
「我々も当然好感度調査を行います。女装家やオネエキャラに対する世間の好感度は高い。理由は『正論を言うので信頼感がある』という点がまず一つ。CMは商品の信頼性を見せる必要があるので、この要素は大きいです。あとは、『男女両方を狙いたい商品に合う』点があります。中性的なところがあるため、幅広いターゲットに訴求できるのです」
こうした女装家が受け入れられる土壌を作った第一人者といえば、美輪明宏(81)だろう。2010年12月2日号の女性セブンには以下の記述がある。
〈自身もゲイで、15年以上前から講演や執筆活動を行い、同性愛者たちの相談受付をしている伊藤悟さんは、美輪の存在をこう語る。「まさに日本のゲイの世界のパイオニア。同性が好きだと公言した日本で最初の芸能人でした」
しかし、男にしてバッチリと化粧をする美しい美輪の登場に世間は戸惑った。初めは注目が集まったものの、次第に「男らしくない」と非難の声が強くなっていった。化け物扱いされ、美輪は見も知らぬ人から石を投げつけられたこともあったという。〉
このように先駆者となったものの、差別を受けていた過去があったのだ。前出広告代理店社員は語る。
「芸能人の出演する場として、より高い好感度が必要な順番を挙げると『劇場』→『雑誌』→『ラジオ』→『新聞』→『テレビ番組』となります。そして、最後が『CM』です。それだけCM出演は好感度が重要になる」
現在、美輪はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」のCMに出演中。城や湖など、雄大なテーマエリアを空撮し、黄色い髪の毛の美輪が城を臨む姿を後ろから撮影。「世界一の、別世界へ。」のコピーとともに美輪が「すっごーい」と感嘆する内容だ。
これを観た視聴者からは「USJのハリーポッターのCMが美輪明宏さんなのがやけにしっくりする。なぜか心が落ち着いた」「いま、USJのCM見たんですが… 美輪明宏さん、ハリポタのキャラの一人ですと言われても違和感ないなぁ…」などとツイッターに書かれ、その世界観とマッチしたと評価されているようだ。