英国のEU離脱で改めて注目された「国民投票」という手段。世界同時株安の引き金となったことを批判する声も多いが、国論を二分するテーマについて、国民の意見を直接反映させる“究極の意思決定”ともいえる。一部の既得権者の専横や不合理な慣習のために変革が進まないテーマについては、日本でもこの最終手段で決着をつけたほうが、世の中スッキリするはずだ。経済アナリストの森永卓郎氏は、消費税について国民投票の必要性を訴える。
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アベノミクスが失速した原因は2014年4月に消費税が8%へ引き上げられたことにある。景気回復の恩恵がサラリーマンの所得に及ぶ前に増税され、実質賃金は5年連続で下がっている。
実質GDP成長率で見ると2013年度はプラス2.0%と絶好調だったのに、増税後の2014年度はマイナス0.9%に急降下。2015年度はプラスに転じたが、増税前の水準には戻っていない。
日本経済を再び成長軌道に乗せるには、税率を5%に戻してお金の流れを変えるしかないのだ。減税すれば物価がダイレクトに下がるので、消費が上向き、企業収益が改善して賃金アップにつながる。経済の好循環が実現していくことになる。
しかし、先の参院選でもアベノミクスを推進する自公から、増税反対の共産党まで、「減税」という選択肢を掲げる党はなかった。だからこそ、国民投票で強烈に民意を示すしかないのではないか。
政策立案は財源などを含めて考えなければならないので、本来、負担を軽減するだけの“いいとこ取り”は禁じ手だ。だが、消費税に関してはあまりに事実誤認が蔓延しているので、国民投票という機会を設けて、正確な情報の公開・周知がなされることに意味がある。