一方で、施設に入ることを拒む親も多く、子も親を施設に入れることに抵抗があるケースが多い。介護・暮らしジャーナリストでNPO法人『パオッコ』理事長の太田差惠子さんは親子が「適度な距離感」を取ることが必要だという。
「そもそもお年寄りは全員施設に入ることを嫌がるもの、そう思った方がいい。その上で施設入所という選択が避けられないケースもあります。
子が親に“ちょっとここで養生して”と言って入院先の病院からそのまま施設に入るケースも多いですが、親をだますような方法は最後の手段です。親子でコミュニケーションを取り、施設見学や体験入所を経てなるべく円満に入所してもらうのが理想です」(太田さん)
比較的低コストで入れる施設として特別養護老人ホーム(特養)があるが、入所待ちが多く、待機期間が数年に及ぶこともある。65才以上で要介護3以上の認定を受け、常に介護が必要で自宅介護が困難な人が優先されるので、ハードルは決して低くない。
それでも、簡単にあきらめてはいけないと太田さんは強調する。
「たしかに何百人待ちという特養もありますが、家の近くにこだわらず地域を広げたら思わぬ特養が空いていたり、在宅復帰を目指している人のための老人保健施設が見つかることもあります。
情報を集め続ければ必ず“代案”が見つかるはずなので、簡単にあきらめないでほしい。地域包括支援センターに何度も足を運んで相談するなど、ひとりで介護を抱え込まないことがとても重要です」
※女性セブン2016年8月11日号