スポーツ

東京五輪に向けて スポーツ中継にタレントは必要なのか

「顔が似ている」というどうでもいい話題を、とんでもない方向でメダリストにふった元メダリストもいました。加藤綾子さんが司会を担当するフジテレビ『スポーツLIFE HERO’S』。

 柔道で銅メダルをとった近藤亜美選手を相手に、「顔がカトパンに似ている」とスタジオで大盛り上がり。それを聞いていたコメンテーター、元柔道銀メダリストの篠原信一氏が、なんと近藤選手にむかってこう言い放った。

「金メダルとったらカトパンになれる」

 もう目が点です。まったく意味がわからない。メダリストをいったい何だと思っている? カトパンの方が上かい? 元メダリストで柔道の先輩がそんなことを口にしてしまうなんて……画面を観ていて頭を抱えました。

 元選手といえば、懲りることなく「熱い男」として声を張りあげる松岡修造氏。テレビ朝日の五輪番組メインキャスターとして出演していたけれど、妙な空回り感が。一緒に出演したスペシャルサポーターの福山雅治氏に気を遣ったせいという指摘もあったけれど、それもどうだか。

 そもそも五輪の試合はすでに熱い。手に汗握るギリギリ勝負に満ちている。選手たちの心も熱い。そこへしゃしゃり出てきて「日本一熱い応援」「絶叫」は、余分。「熱い」を通り越して「熱苦しい」。

 タレントたちの存在意義も、問われ始めた五輪でした。開会式でカンボジア代表の猫ひろし選手が画面に映った時、「銀座でばったり猫さんと会ったことがある」と個人的なコメントを発露した福山氏。「わざわざタレントを現地派遣するのはなぜ」「番組に出てくる意味がわからない」という声も多く聞かれました。

 視聴者は、「人気タレントが出ているからスポーツの試合を観る」のではなくて、「試合が面白いから観る」。スポーツを観る純粋な楽しさに多くの人が気付き、それが深まってきている。そこにテレビ局もきちんと向き合うべきでしょう。東京五輪にむけて、スポーツジャーナリズムが日本にきちんと根付くかどうか。問われています。

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