人気タレントや俳優がちょんまげ姿で登場するCMが増えている。auの「三太郎」シリーズは今やおなじみだが、それだけではない。お酒から飲料水、麺類まで、さまざまなCMでちょんまげが席巻しているのだ。激増のワケについて時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが分析する。
* * *
最近、ちょんまげCMが頑張っている。その代表例といえば、高良健吾の『淡麗侍』。都会のオフィスビルの屋上でスマホを使う淡麗侍(課長)。部下からの連絡に「すぐ行く!」と飛び乗ったのは、タクシーでも電車でもなく馬だった! 「はっ!」と声をかけ、颯爽と道路を疾走して現場に駆け付けたものの、悪代官(クライアント)の松重豊からは「馬で来るな」「(馬の)上から言うな」と怒られる。大阪ではお約束のボケをかます商人(辻本茂雄)の前でバッタリと倒れ込んで「間が良かった」とほめられ、博多では頑固な博多職人を前に「実は私」と着物の片肌脱いで「ソフトバンクホークス」のシャツを見せて九州出身(ホントです)とアピール。工場長(秋山幸二)と意気投合。淡麗侍大活躍中である。
もうひとつキリンでは『氷結』に、志村けんのバカ殿様も登場。例によって「よいではないか」と腰元を追いかけまわしたり、変顔を見せたりしたかと思えば、突如、シリアスな素顔に戻って「はっ!」と掛け声一発。津軽三味線をつま弾き、スカパラとセッションを始める。
この他、「嘘だと思ったら、食べるでござる」の『まるちゃん正麺』の役所広司、『風立ちぬ』を仲良く歌う『伊右衛門』の本木雅弘と宮沢りえ、「この夏、味な出会いがありました」と異人さんのお客にタル鶏天ぶっかけうどんを提供する『丸亀製麺』の檀れいなど、ちょんまげCMシリーズものも元気がいい。