安倍内閣が、12月の日露首脳会談で北方領土の2島先行返還合意を実現させ、その外交成果を掲げて1月解散に踏み切るというシナリオで準備を進めている。自民党は二階俊博幹事長が選挙準備の檄を飛ばすなど戦闘態勢に入りつつある。
新聞や通信社は早くも総選挙のシミュレーションを行ない、「自民党の大幅議席減」を予測している。時事通信は10月8日付で「野党共闘で47選挙区逆転=自公、3分の2割れ―前回衆院選で試算」の見出しでこう配信した。
〈2014年衆院選の小選挙区(計295)で、旧民主、共産、生活、社民4党の得票数を合算すると、自民、公明両党が勝利した232選挙区のうち、47選挙区で逆転することが分かった。比例代表を含めた試算では、自公両党が法案の衆院再可決や憲法改正発議に必要な衆院の3分の2の議席を割ることになり、次期衆院選に向けて野党共闘の行方に関心が集まりそうだ〉
今年7月の参院選では、民進党(旧民主)、共産党、社民党、生活の党の野党4党が32の1人区で選挙協力態勢を組み、11選挙区で勝利した。4党は10月の衆院ダブル補選(東京10区と福岡6区)でも候補者を一本化し、次の総選挙に向けた共闘を探っている。
時事の試算は、2年前の前回衆院選の得票をもとに、野党4党が共闘すれば北海道、東京、京都など24都道府県の計47選挙区で野党4党の合計得票が与党候補を上回り、比例代表を合わせた自公の議席は前回の326議席→279議席へと激減、3分の2(317議席)を割るというものだ。
〈改憲に前向きな今の日本維新の会(15議席)を合わせても3分の2に達しない〉と指摘している。
東京新聞も同じ前提で「4野党共闘なら議席2倍に 次期衆院選小選挙区 本紙試算」(9月4日)と報じた。野党4党が候補者を一本化すれば小選挙区の議席が43議席から91議席に増えるという内容だ。
しかし、安倍首相や自民党選対はそうは見ていない。そもそも「50議席減」の大敗のリスクを冒して、解散に踏み切る道理があるとは思えない。