沖縄県北部の高江が基地反対運動で注目を集めている。同地の在日米軍北部訓練場で進むヘリパッド建設計画。その工事を止めるため、反対派が訓練場の入り口を取り囲む。それを排除しようと機動隊が出動、反対派に対して差別発言を浴びせたことで非難の声が高まった──10月15・16日、評論家の古谷経衡氏が日々深まる混迷の現場、沖縄・高江を訪れた。
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高江のヘリパッド問題とは何か。かいつまんでいえば、高江に6個のオスプレイ離着陸可能なヘリパッドを建設する代わりに、北部訓練場の過半となる4000haを日本側に返還する、という計画だ。
辺野古にあれだけ強硬に反対してきた翁長(雄志)知事が、こと高江に関しては菅(義偉)官房長官とにこやかに昼食を共にし、「歓迎する」という言葉を発したのは、このヘリパッド建設のバーターとしての訓練場返還は、沖縄側にとっても決して悪い話ではないからだ。
であるがゆえに、いまひとつ高江は全県的沸騰を見せていない。反対派の言い分も漠としている。高江の森を守れ、水源地を守れ、と自然保護的な理屈に終始するが、ヘリパッドとは言え森の中にコンクリを打つのではなく、森林を伐採して直径約50mの芝生を6個建設する開発面積3.6haの小ぶりなもの。辺野古埋め立ての面積は160haなのだから、その小ささは歴然としている。
無論、高江集落への騒音問題があるし、過疎地だからよいのか、とはならない。が、この僻地に禁忌施設を押し付けるというやり口は、沖縄に限らず原発や最終処分場等の問題で本土の過疎地でも繰り返されてきた光景であり、殊更沖縄固有の問題とは言い切れない。
高江周辺には確かに鬱蒼とした亜熱帯特有の低木森林がひろがり、ヤンバルクイナが生息する「山原の森」として知られるが、北部を隈なく回った私はついぞ一羽のクイナにも出会うことができず、すわクイナかと思った鳥はすべてハシブトガラスの類であった。