国内

カジノ法案からあらためて考える日本のギャンブル事情

いよいよ「カジノ法案」が成立!?

 コラムニストでデイトレーダーの木村和久氏が、近頃気になるニュースをピックアップし独自の視点で読み解きます。今回は、もうすぐ成立の見通しのIR法案、いわゆる「カジノ法案」について考察。

* * *

 いよいよIR法案が、近々可決される雰囲気となってきました。「カジノ解禁」だから、ルーレットやバカラ賭博が、どこでもできると思っている人がいますが、それはちょっと早とちりです。

 今回のカジノIR法案は、2020年の東京オリンピックに向けて、カジノを含めた統合型リゾートを作るための準備法案です。2020年頃には、統合リゾートの中にカジノがオープンする確率は高いですが、あくまでそのエリア内、つまり、限定的カジノ解禁にすぎないのです。

 一部の野党はギャンブル依存症が増えるから、カジノ反対と言っていますが、それは全くナンセンスだと思います。日本は30兆円弱もの売り上げを誇る、世界一のギャンブル大国であり、いまさら統合型リゾートが1~2つ増えても、大勢に影響はありません。ちなみにパチンコの売り上げが約23兆円なのに対して、世界のカジノの総売り上げが約18兆円です。世界中のカジノが束になって戦ってもかなわないパチンコって、すごすぎませんか?

 日本のギャンブル依存症の数は、成人の5%弱(厚労省データ)と言われています。これは異常に高い数字で、アメリカですら1.6%、先進国でも2%未満がほとんどです。理由はパチンコ店が全国に、約1万2000軒あるからで、そりゃ、ついつい行きますよね。最近は1円パチンコもあり、実に財布に優しいシステムになっているのです。

 その財布に優しいとは、どういうことでしょうか? ギャンブルには「還元率」という数値が設定されています。つまりお金を払ってギャンブルをした場合、平均的にいくら戻ってくるかという数字です。日本で一番優秀なギャンブルはパチンコで、平均85%の還元率となっています。つまり1000円で遊んだら、850円は戻ってくると…。だからパチンコは、負けたような気がしないまま、なんとなく財布の中身が薄くなっていくのです。

 次に優秀なのは公営ギャンブルで、競輪や競馬、競艇の類は70~80%の還元率です。最悪なのは、なんと宝くじです。還元率は、約45%とえげつない数字となっています。宝くじは、当せん金付証票法のもとに運営されており、法的にはギャンブルの扱いではありません。一番健全に見えた宝くじが、一番当たらないとは…。道理で宝くじを何万円買っても、儲からないわけです。

 それではカジノの還元率はどうでしょうか? 日本にはないので、外国でやっている例を参考にしますと、カード、ルーレット、スロットなどのトータルで、90~95%の還元率となっていて、意外と良心的です。もちろん、ディーラーの技量やマシンの設定で、還元率はいかようにも変えられますが、思ったよりは、ぼったくってません。おそらく、日本で還元率80%を割れば、目の肥えた訪日観光客から、クレームがくるのではないでしょうか。これは欧米の慣習に見習い、還元率を上げて運営せざるをえませんね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン