今クール、番組のエンディングにひと工夫加えるドラマが増えている。その傾向と狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、過去の代表的なドラマのエンディングを振り返りながら解説する。
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昨年秋、『逃げ恥』の“恋ダンス”がブームになったことで、今期のドラマもエンディングに注目が集まっています。
ドラマのエンディングは1980年代ごろから、制作サイドが明確な狙いを持って作られてきましたが、ダンス、キャストの歌、フリートーク、マネキン・チャレンジなど、今期ほど多彩な演出が見られるのは異例であり、明らかな変化と言っていいでしょう。
◆最初から最後まで見せる最善策
今期エンディングの工夫が目立つ最大の狙いは、視聴率と視聴者を増やすこと。もともとドラマ業界では、「完成度と注目度の高いエンディングを作れば、最後まで視聴率が落ちにくい」と考えられてきました。
たとえば、『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系、2003年)は、雄大な自然を背に主人公が自転車で走る美しい映像が好評でしたし、『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』(フジテレビ系、2001年)は、毎週Mr.Childrenの異なる楽曲を使ったエンディングで、「今週はどの曲かな?」と視聴率アップに貢献していたのです。
さらに昨年あたりから制作サイドが、「エンディングは短時間動画として配信しやすく、ネット上で拡散されやすい」ことに着目。実際、『逃げ恥』に続いて今期の『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)も、エンディングダンスがネット上の反響を集めています。
また、「冒頭に前週までのダイジェストを見せる形が定着して、テーマ曲を流さなくなった」ことも、エンディングに工夫を凝らす理由の1つでしょう。視聴者に“ながら見”をさせず、チャンネルを変えさせないためには、凝ったオープニングを作るよりも、「ダイジェストのあとにいきなり物語を動かす形にしよう」というスタンスがうかがえます。
◆作品の世界観を象徴。真逆のケースも