では、新しい選手が加入した時に、放出されるのはいったい誰か。真っ先に自由契約になりそうなのは、かつてクリーンアップを担った東芝だ。株価大暴落でチームに迷惑をかけた責任は重い。半導体部門の子会社化などの延命策を模索するというが、カムバックは厳しそうだ。
前述のように電気機器28銘柄、自動車10銘柄など、ダブついたポジションの選手を放出するのも選択肢だろう。
「重電の中堅企業やオーディオ機器メーカーなどは時代にマッチしているとはいえず、ヘイキンズにいてもほとんど活躍の機会がありません。自動車も今後の再編は必至。あらかじめ採用メンバーをしぼっておいてもいい」(植木氏)
メンバーが輸出産業に偏っているため、円安という外角球にはめっぽう強いが、円高で内角攻めされると打線が沈黙するという欠点も長くそのままにされてきた。
「一番の問題は、多くの人が日本経済の調子が上向きかどうかを、日経平均の値動きで判断しているにもかかわらず、その株価が必ずしも実体経済の状況を反映していないことです。
国内に絶好調で打ちまくる選手がいるのに、ヘイキンズに入らなければ“存在しないのと同じ”に扱われてしまうわけです。そうした齟齬によって、政府が金融・財政政策などの判断を誤るリスクだってあります。ヘイキンズの“日本を代表する選手を集めた”という看板に偽りがあっては困るのです」(田代氏)
思い切った入れ替えが必要ではないか。選手の入れ替えを決める日経新聞社はヘイキンズのチーム編成について〈銘柄入替等の重要事項については、独立した社内委員会による確認と、外部委員会の審査を経て決定・公表〉としている(同社HPより)。さらに詳しい判断基準を質問しても、「委員会の審査内容や委員も公表していない」(広報室)とするのみだった。
ファンが歓喜する夢の大型補強が実現する日はやってくるのか。選手のみならずフロントの手腕も問われている。
※週刊ポスト2017年3月3日号