優秀な人材の多いドイツですら、自国の文章をスラスラ読んで理解できる「機能的識字」の能力を欠く人が公式に750万人もいる。外国系ドイツ人が比較的多いとはいえ、人口が約8000万人のうちおよそ1割とは膨大な数である。
一部のエリートが国を引っ張るのではなく、皆が高いレベルを保つことで国は発展する。日本は将来移民を入れても、この強みを失わないよう努力すべきだ。
基礎教育の充実により【日本は、世界でも稀に見る格差の少ない国】になった。ヨーロッパは昔から階級社会であり、教育の機会が日本ほど均等ではない。社会から落ちこぼれやすいシステムと言えるだろう。
かつてのヨーロッパは植民地を持ち、「自分たちより下のカテゴリーの人間がいる」のが当たり前だった。ドイツも戦後は安い労働力として外国人を入れたので、現在も重労働や人の嫌がる仕事は、低賃金で外国人労働者が引き受けている。
一方、日本では格差がほとんどなく、戦後の復興期は中卒の人々を「金の卵」と呼び、企業は働かせながら定時制に通わせ、育てた。【基礎教育のレベルが高く、職業差別が少ないゆえ、多くの人が様々な職場で働ける】ことも彼我の違いである。