【争いより調和を好む日本は西洋の民主主義とは一線を画す】。生きていくのに、どちらが快適な社会であるかはいうまでもない。しかも日本の社会のほうがスムーズに機能する。日本はもっと自分たちのスタイルや国のありように自信を持つべきだ。
何と言っても【日本の治安の良さはケタ違い】である。私の知り合いのドイツ人が隣国であるポーランドのキャンプ場で車の横にテントを張って寝て、翌日、目を覚ましたら車が盗まれていたという嘘のような話がある。私自身、スペインにある知人の別荘で、睡眠中に部屋に泥棒が侵入し、お金を盗まれた。ヨーロッパの都会はたいがい治安も悪いので、夜10時を過ぎたら地下鉄に女が一人で乗るのは怖い。
かたや【日本は犯罪が少ないばかりか、落とし物をしても戻ってくる】。
しかも現在、ヨーロッパは難民問題で揺れている。ドイツでもテロを行う怖れのある外国人が、国内にすでに500人いると言われる。しかし、取り締まりも強制送還もなかなか難しい。
2015年の大晦日から2016年の新年にかけてケルンの駅前広場で難民1000名以上による集団暴行事件が発生したため、今年はドイツ各地で厳重な警備態勢が敷かれた。難民を入れる時は「人権」「隣人愛」を前面に出したドイツ人だったが、今ではコストと治安の問題ばかりが話題になる。「昔に戻りたい」と言う人も多い。
もちろん、日本も論理性が足りず、広報活動が苦手で国防意識が低いなどの欠点はある。だが、30年以上ヨーロッパに住んでみた私からすれば、住みやすいのはやはり日本。9勝1敗で日本の勝ちなのである。
【PROFILE】かわぐち・まーん・えみ/1985年、日本大学芸術学部ピアノ学科卒。シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。ドイツ・シュトゥットガルト在住。著書多数。『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社+α新書)のシリーズがベストセラーに。
※SAPIO2017年3月号