日本の歴史上、最も有名な戦乱のひとつのはずなのに、大河ドラマになれば低視聴率。誰が登場したのかも、どんな理由で争ったのかもよく知らない──そんな「応仁の乱」をテーマにした新書が、異例のベストセラーになっている。
昨年10月に出版された、国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏の著書『応仁の乱』(中公新書)。増刷を重ね、累計18万部を記録している。
応仁の乱といわれても、「人の世むなし……(1467)」という語呂合わせが出てくるくらいで、印象が薄いと感じる人も多いだろう。実際、応仁の乱を取り上げた大河『花の乱』(1994年放送、主演・三田佳子=日野富子役)は、当時の歴代最低視聴率を記録した。
そもそもどんな戦乱だったのか。通説をおさらいすると次のような内容となる。
〈息子がいなかった室町幕府の八代将軍・足利義政は弟の義視を後継者と定める。しかしその後、義政の妻・日野富子が男児(のちの義尚)を出産。富子は我が子を将軍にしようと画策する。この諍いに有力守護大名の細川勝元(義政側=東軍)と山名宗全(義尚側=西軍)が介入し、11年に及ぶ天下を二分した大乱に発展した〉──。
しかし、今回のベストセラー『応仁の乱』はこの通説を否定する内容なのだ。