ユーミン「男の嫉妬と闘っているでしょう?」
小池「闘ってるというか、これまでの人がたまたまずっと男性ばっかりでしたからね。でも21世紀はもっと大幅に、変えるところは変えていいと思う。そういう切り込みは女性のほうができるんじゃないかしら。しがらみないしね。マタドール(闘牛士)よ!」
小池百合子東京都知事(64才)が2月24日の深夜、『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)にゲスト出演。松任谷由実(63才)は小池氏の1才年下の同世代だ。2人がいうところの「魔女会」が実現した。
この日が初対面だったが、不思議な因縁があることが対談の冒頭で明かされた。15年ほど前にユーミンがエジプトを訪れた時、「百合子さんのお母様がなさっている和食屋さんにうかがって、よくしてもらいました」というのだ。
小池氏が母の「開店エピソード」を打ち明ける。
「(カイロに)和食のお店が1軒だけあって。そこに一緒に行ってすき焼きを注文したらキャベツが入っていて、母が怒って『これは日本料理じゃない!』って。それで『私がやる』って言い出したのね。(母は)芦屋のマダムだったんですけど、一念発起して。家族は止めましたが、還暦くらいで急に新しいことを始めたんです」
女性が還暦を過ぎてもまだ挑戦し続けること──。その難しさをユーミンは感じていた。
「ラジオ収録の1週間前まで、今年で37回目となる苗場プリンスホテルでの冬のコンサートに出演していました。打ち上げの席でユーミンは、“還暦を過ぎて体の負担も大きくなり、同じことを毎年やることがどれだけ大変か。もう今年で終わりなんじゃないかという思いが強くなってきた”と漏らしていました。本音というか、弱音というか…。
ユーミンは女性シンガーとしては自他共に認める第一人者で、彼女の先にも同世代にも“お手本”はいません。だから、音楽と政治という畑は違っても、還暦を超えてから都知事という道にチャレンジするスピリットを持っている小池さんに会って刺激を受けたくて仕方がなかったようなんです」(ラジオ関係者)
今回の対談はユーミンの熱烈な希望を、「1970年代からの大ファン」という小池氏が快諾して実現した。収録日のユーミンの服装は爪もバッグも靴も、時計まで小池カラーの緑一色。小池氏へのリスペクト全開で迎えた。
前述の小池氏の母親のエピソードを聞いたユーミンが、こう問いかけた。
「還暦の時って、人生をリセットするような時でもあるじゃないですか」
すると小池氏は、
「でも、ある種の居直りみたいなのがない? 昔はいろいろ迷うこともあったけど、(今は)あまり迷わない」
とズバリ。ユーミンは「(今が)迷いの最後くらいかもしれないですね」と、自分にはまだ迷いがあることを吐露。
小池氏といえば石原慎太郎・元東京都知事(84才)の「大年増の厚化粧」発言が有名だが、その受け身の取り方は柳のようにしなやかだ。
小池「(化粧のことを)ネットなんかでイジられたりしてますけど。でもイジられてるうちが花ですよね」
ユーミン「そういうところが肝が据わってるというか、タフですよね」
小池「そうですね、楽しいですよ。ポジティブ」
ユーミン「ダメだ私なんか。打たれ弱いですよ。小さい自分と、パフォーマンスの時の大きい自分と。だから被害妄想と誇大妄想を行ったり来たりするみたいな…。精神的にひきこもる時があります」
アーティストとしてはそうした不安定さも必要だと語り合った2人だが、ユーミンがそこまで自分の内面を吐き出すのは珍しい。