「保護者みたいな気分でもありました。最後の12人の部員は彼らなりに試行錯誤して勝とうとし、微々たる改善ながら努力を重ねていた。そんな彼らを本当に好きになったし、最後まで見届けたいと思いましたね」
彼らの描き方にエールが滲んでいたのは、柳川氏の思いゆえだったのだろう。PL野球部の栄光と凋落は、日本が歩んできたそれともどこか符合する。柳川氏が描いたPLのストーリーに、読者一人ひとりは違った発見をするのでないか。
【プロフィール】やながわ・ゆうじ●1976年宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、出版社勤務を経て独立。高校野球の取材を2005年から始めて以降、春夏の甲子園取材をライフワークとする。主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。著書に『最弱ナイン』(角川書店)。「PL学園の最後の部員たちにこの作品を読んでもらって、自分たちの描かれ方をどう思ったか聞いてみたいです」。162cm、79kg、O型。
■構成/森健(もり・けん):1968年東京都生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学在学中よりライターとして活動。『「つなみ」の子どもたち』『つなみ 被災地のこども80人の作文集』で第43回大宅壮一ノンフィクション賞、『小倉昌男 祈りと経営』で第22回小学館ノンフィクション大賞受賞。
■撮影/国府田利光
※週刊ポスト2017年4月7日号