「選手はケガをおしても試合に出ようとするもの。それを完治させてから出場するよう導くのが監督の大事な役目です。特に大谷の場合、“二刀流”の両方が可能な状態に導くのが、それを入団の口説き文句にした日本ハムの筋でしょう。投げられない状態なら試合に出すべきではなかった」
前出・中畑氏は起用法だけでなく、指揮官としての姿勢にも首を傾げる。
「裏で監督が本人に『あまり無理をするな』と伝えるのはいい。だが、全力疾走した大谷に対して、ベンチで怒りを露わにしたり、メディアを通して叱ったりするのはおかしい。そもそも『全力疾走するな』という発言は『怠慢プレーをしなさい』と推奨しているようにしか見えない。どっちつかずでは大谷もかわいそうだし、ファンにも失礼です」
中畑氏自身はDeNA監督時代、WBC・侍ジャパンの4番を務めた筒香嘉智(25)が右手首のケガをした際、厳しく接したという。
「当時3年目の筒香はケガの影響で結果が出ず焦っていた。それでも私は『そんな状態なら使わない』と二軍に落とした。若い選手には未来があるんだから焦らせちゃダメなんです。監督は心の中では苦しくても、“使わない”と判断することも必要です」
※週刊ポスト2017年4月28日号