《階上に義父母が住んでいるとか、想像しただけでムリ》、《玄関が別でも、いつ顔を合わせるかわからないし…》、《でも、いざって時に同じ敷地に親がいるのは便利かも》。去る4月上旬、森山良子(69才)が娘婿の小木博明(45才)一家と住む二世帯住宅を都心に完成させたと本誌が報じると、ネット上にさまざまな意見が殺到した。
嫁姑ならぬ婿姑バトルを懸念する声や、困った時に助けになるからと同調する声など、「二世帯住宅」というキーワードが多くの人々の関心を集めたのだ。
その背景には、戸建てを検討する夫婦の間で、二世帯住宅への関心が高まっていることがあげられる。1975年に日本で初めて二世帯住宅の販売を始めた旭化成ホームズの二世帯住宅研究所所長・松本吉彦氏が語る。
「これまでは息子夫婦との同居世帯が多かったのですが、昨今は娘夫婦との同居が増えています。衝突しがちな嫁姑とは違い、トラブルの少ない母娘同居が二世帯住宅のハードルを下げたのです。また、共働き夫婦が増えて、親に子育てのサポートを望む人や、高齢化で親の介護が必要な人が増加したことも同居志向を高めた要因です」
もともと二世帯住宅は、地価の高い都市部でも、親の土地で一つ屋根の下、核家族生活ができる住居として開発され、1980年代の土地高騰と共に増加した。
バブル崩壊後は一時、減少傾向にあったが、2008年のリーマン・ショックで景気が落ち込んだことや、2011年の東日本大震災後の“絆ブーム”により、家族の重要性が再認識されたことで再び注目されるようになったのだという。さらに近年は、親だけではなく独身のきょうだいも一緒に住む「2.5世帯住宅」が増加しており、同居住宅のすそ野が広がっている。
だが冒頭のように、義父母と同居することへの不安は根強い。では、二世帯住宅でうまくいく家といかない家の境界線は、はたしてどこにあるのか? その答えを教えてくれたのは、元おニャン子クラブの新田恵利(49才)だった。
◆生活空間のすべてを分けた
現在、新田は神奈川県湘南地区の3階建ての二世帯住宅で夫と母親(88才)と同居している。この家を建てたのは結婚3年目の2000年。母が71才の時だった。
「もともと同居を考えていて、主人にプロポーズされた時も“結婚したら犬とばあさんがついてくるよ”と伝えていました(笑い)。環境の良さとテレビ局に勤務する夫の通勤の便を考えて湘南を選んだんです」(新田)
1階を母が使い、新田と夫は2階と3階で暮らす。玄関は分かれており、母の住む1階は6畳の寝室、8畳の居間、3畳のキッチンと浴室、脱衣所、トイレという間取りだ。夫妻の暮らす2階はリビングや水回り、3階は寝室になっているという。