現代は、映画などのデジタル化も進み、カッコいいことが良しとされる面がありますよね。そんな時代に、私が信念とする美意識というか、ロマンや純粋さというものは、ひとつ前の世代の考え方かもしれません。
でも、だからこそ、今の世代に受け入れられるようにモダンに表現しつつも、そのような感覚を伝えられる作品を、作り続けるのが私の夢なのです。私が言ったことをギュッと凝縮した表現がオスカー・ワイルドの言葉にあります。
“我々はみなどぶの中にいる。でも、そこから星を眺めている人もいる”
私はこの言葉が大好きです。
〈オスカー・ワイルドは19世紀後半に活躍した英国の詩人・劇作家。小説に『ドリアン=グレイの肖像』などがある〉
現実は、とても暗くて問題だらけかもしれません。でも、横をみるのではなく、星を見上げる心の余裕やロマンが大切なのだと思うのです。
撮影/森浩司
※女性セブン2017年6月22日号