常に脚光を浴びる芝GIに対し、ダート戦は地味な印象だが、近年は地方交流戦の充実で注目度が高まってきた。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、ダート替わりのタイミングについて解説する。
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愛馬にはやはり芝を走らせてやりたいというのが、馬主さんの偽らざる思いであるというのが前回の話。今回は芝からダートへの「ダート替わり」についてです。
芝である程度キャリアを積んだ馬がダートを走るきっかけは、やはり「頭打ち」。戦績をたどれば分かりますが、けっして最終手段的な悲壮感溢れるものばかりではなく、ポジティブな考え方もあるように思えます。
たとえば「同じリズムで長く脚を使えるタイプ」という評価の馬。言い換えれば、そこそこ前に付けられるけれど、ワンペースで最後の詰めが甘い、勝負所でギアが上がらず、掲示板がやっと、という馬。騎手にしてみれば、あとひと踏ん張りすれば勝てるのに、という思いがあり、陣営に進言することもあるようです。もどかしい思いを抱いているオーナーから、「ダートを使ってみては?」という提案をされることもあります。