この国の大メディアは本当に権力を監視する役割を担えるのか──都議選告示のニュースを各紙各局が報じた同じ日、そんな疑念を抱かせる“サイン”が紙面や画面に登場していた。2012年の第二次政権発足以降、安倍官邸が着々と進めてきた大メディア支配は、いよいよ完成の域に入ろうとしている。
支持率大幅ダウンの安倍晋三・首相が強気の姿勢を崩さない。
「私の友人だから認めてくれ、という訳のわからない意向がまかり通る余地などまったくない」
東京都議選の告示翌日(6月24日)、産経新聞が運営する神戸「正論」懇話会の講演ではいつもの調子で加計学園問題での“潔白”を主張。国会閉会後の会見で一度は口にした「反省」も、国民への真摯な「謝罪」をする気も全く感じられない。
虚勢を張っているのか、それとも、逆風をはねのける自信があるのか。確かに、政権への風向きが複雑に変わりつつあった。
講演前日の都議選告示日から、朝日、読売、毎日はじめ全国の新聞70紙に「弾道ミサイル落下時の行動について」と題する黄色と赤の派手なレイアウトの政府広告が掲載された。政府の全国瞬時警報システム「Jアラート」でメッセージが流れたら、屋外にいる場合は「できる限り頑丈な建物や地下に避難する」、建物がなければ、「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」という、いわずもがなの避難方法を説明する内容だ。