テレビでも、全国の民放43局で「弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合」という同じ内容のテレビCMが同日から一斉に流されている。テレビCMは7月6日まで2週間にわたって放映される予定で、新聞、インターネット広告と合わせてこの政府広報に3億6000万円もの税金が使われている。
折からの「男女共同参画週間」(6月23~29日)の提供テレビ番組などを合わせると、都議選中に政府から大メディアに流れ込んだカネは約4億円に達する。
しかし、北朝鮮の弾道ミサイル実験は4月と5月に3回ずつ行なわれた後、6月8日を最後に発射されていない。国民以上に目を光らせていなければならない稲田朋美・防衛相さえ、「北への備え」などそっちのけで自衛隊を都議選の“集票マシン”扱いしているではないか。なにゆえに、こんなタイミングで大々的な“避難の方法周知”キャンペーンが始まったのか。上智大学新聞学科の田島泰彦・教授が強い疑義を呈する。
「弾道ミサイルの政府広報は、差し迫った状況ではないのに、いたずらに国民の危機を煽って不安にさせる問題の多いやり方です。“外敵”の存在を強調し、国民のナショナリズム的な感情を高め、政権が抱える加計問題などの疑惑から目をそらさせる。それが狙いではないかとさえ感じられる」